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ドリル

 施術の時間 私は何らかの音源を流している

 本来、施術は静寂の中で張り詰めた緊張を持ち
行うべきものなのかもしれない
 まあ そんな感じとは程遠い気楽な治療室
なので なんかしらの音を流している
  
 ラジオをかけていることが一番多いかな

 有線やCDで音楽オンリーだと何故か疲れて
くるというか 退屈というか ちょっとしたイライラに近い
気分に襲われる
 
 おそらく 私はそれほど音楽というものが
好きな方ではないのだろう 
 私の耳はある程度の時間 音楽を聞き続けると 
それを雑音に感じてしまうのかもしれない

 しかし、これはこれで非常に情けない話である 
何故ならば 施術には無の心が必要であるから
 私が本当に施術に没頭して三昧(ざんまい)の
境地に至っているのであれば横でどんなに音楽が鳴り
響いていても 聞こえていても聞こえない 
すなわち色即是空の世界に入り
音など気にならない筈であるから

 結局は横で流れてくる音を無視できない
修行不足なへたれである

 音楽の素養がない私は音楽だけ長時間
聞かされても空頭感(くうとうかん)に
襲われてしまうのであろう

空頭感(くうとうかん)という言葉
私は藤本義一氏からこの言葉を聞いた
  この言葉が氏の造語かどうかはわからないが
若者の活字離れという事象に対しコメントした時
出て来た言葉である
 氏は活字から離れると お腹が食べ物を
欲するように 頭が知識を渇望し活字を
むさぼるように食べるがごとく本を読んで
しまう と言っていた

 私が音楽オンリーでは満たされない気分に襲われる
のは きっとそれに近い感覚なのかもしれない

 ラジオなら音楽以外にも適度にいろいろな情報も
耳から頭に飛び込んでくる
  おそらくこの情報の獲得が私の空頭感を防止してくれて
いるのであろう

 今日も色々な情報が私の頭に飛び込んできた
例えば今日の情報としては・・・

情報としては・・・・

・・・

 あっ、そうそう 今小学生の間でうんこドリルというのが
流行っているんだってね
はっきり言います 私が子供時分にこのドリルがあったら
絶対にカモられていただろう

 それからあとは え~と え~と・・仏の大統領は
とんでもないチャレンジャー

えーと えーと
なっ、情けない・・
こんなレベルの情報しか思い出せない・・
 もっと高尚な情報は全部
右から左に通過してるだけか・・

いやそうじゃない!! きっと施術の時 
無の境地に入り
音が何も聞こえない状態に到達できてたん
ですよ きっと・・・

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